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B・B・キング「ライブ・アット・ザ・リーガル」

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今日は、ブルースの番。取り上げるのは、ブルースの王様。B・B・キング。ブルース界には、三大キングといって、B・B以外に、アルバート・キングとフレディ・キングがいる。

秘かにブルースにとって最も重要な楽器は、ハーブ(ハーモニカ)だと思っているが、一般的にはギターであろう。ブルースのギターを最高に格好良く男が、このB・B・キングである。

彼は、ローリング・ストーン誌が選ぶ偉大なる100人のギタリストで、3位にランキングされている。ちなみに、1位はジミ・ヘンドリクス(当然)、2位がオールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン・オールマン(なるほど!)、4位がクラプトン(エ~ッ)、5位がここでも取り上げたロバート・ジョンソンである。このランキングの面白いのは、17位にホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが入っているところ。

B・Bのギターの特徴は、スクイーズ・ギターといって、弦をピックではじいたあと、フレットで押さえている指を上に引き上げて、音をせり上げる奏法である。これが、いくつかあるエレキギターのカッコイイ奏法の一つなのである。ビヨーンとのけぞらせることで、メロディの美しさを際立たせつつ、ギターソロを延々と綴っていくパターン。

イギリス・アメリカのギター・キッズたちは、彼のフレーズをひたすらマネして、フレーズを盗んでいる。クラプトンのギターで、「このフレーズ決まってる!」と思ったら、それはたぶん3大キングの誰かのフレーズのコピーである。

ただし、B・B・キングは、ただのギタリストではなく、ブルース史上最高のボーカリストである。彼と肩を並べることができるのは、おそらくボビー・ブランドだけである。とてもソフトな声で、朗々と唄っている。彼は、ギターソロを弾きながら絶対に歌わない。

このライブ・アルバムは、彼の代表作。このアルバムの凄まじさは、聴いてみればすぐわかる。まず、ゴージャス。ブラス・セッションがバックについている。そのブラスの伴奏と彼のギター&ボーカルの掛け合いでガンガン盛り上げる。その盛り上げ方は尋常ではなく、だんだん歓声(しかも女性の嬌声)のボルテージが上がっていくのが、CDでも手に取るようにわかる。

ブルースというと、男の音楽っていうイメージ。場末のパブの端っこで、細々と演奏しているというようなシミジミ感が漂うが、それを一掃してしまったのが、B・B・キングである。これは、もうショー。ステージというのにふさわしい。

もうひとつ。ライブアルバムの傑作に「ライブ・イン・クック・カウンティ・ジェイル」がある。これは、文字通り、刑務所でのライブ。バックバンドの演奏に合わせて、語る、語る。まるで、ゴスペルの説教師。あおりまくって、歌に入る。それで、聴衆は、震えがくるほどの感動のるつぼに飲み込まれる。

B・Bは、ライブが大好きで、歳をとってからも、年間200本以上のコンサートをこなしているという。毎日、'Everyday I have the Blues'や'Why I Sing the Blues'を歌っているのだろう。本当の意味でのエンターテイナー。人を楽しませることに喜びを感じるプロの芸人である。

その能天気さに反発して、B・Bは二流のブルースマンだと偉ぶる人がいるが、彼を通じて多くの人がブルースの魅力に触れたという意味で、彼はブルースの入り口であり、彼の演奏によって、ブルースの可能性が広がり、はっきり言ってブルースで食っていける人が出てきたという意味で、ブルースのイノベーターである。

私は、プロフェッショナルが好きである。「演奏なんて下手でもいいじゃん」という甘えが見え隠れするロンドン・パンクが嫌いな理由もそこにあるが、お客から入場料をとり、CDを商業ベースで売るからには、手間ヒマをかけたプロの音楽を聞かせてほしいと思う。B・B・キングの演奏には、プロとしての誇りをとっても感じる。

ただ、そんな理屈を無にするような、なんという声の魅力! 包み込まれている感じの甘い声(エルビス・プレスリーの発声は、B・Bを真似ていると私は踏んでいる)。トトロのお腹に乗っかっているような安心感を与える声。

その声だけでうっとりしてしまっているところに、ダメ押しの歌うようなギター攻撃。ブルースの魅力のすべてが詰まっているアルバムである。長年ロックを聴いてきた人を、どうしてもブルースに引き込みたいときには、このアルバムが最適である。
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