先生が語る大人の音楽

先生が音楽について語ります。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

ビリー・ジョエル「ストレンジャー」

ビリー・ジョエル/ストレンジャー
このカッコいいジャケットは、今や私と同じようにメタボおじさんになってしまったピアノマン、ビリー・ジョエルの最高傑作「ストレンジャー」。

私がビリー・ジョエルの音楽に最初に出会った場所を何故かはっきりと覚えている。高校生のとき、家族と行った温泉街のホテル。そこにあったジュークボックス。何か聞きたいなと思って、何気なくかけたのが、ビリー・ジョエルの"My Life"だった。

キャッチーなメロディ。ちょっと人を喰ったボーカル。そして、魅力的なピアノ。ハードロックを聴いていた高校生の私には、ちょっと大人な音楽だった。

大学に入った頃、いまやこれもメタボおじさんの田中康夫が書いた「なんとなくクリスタル」がベストセラーになり、そこに登場するポール・デイビスの"I Go Crazy"など、この手のオシャレな音楽が街に流れるようになった。早稲田の汚いサークルのラウンジにたむろしていた私は、田中康夫の描いた世界に、言いようのない反発を覚えたが、ビリー・ジョエルとボズ・スキャッグスは、よく聴いていた。

デビュー曲"Piano Man"(中島みゆきの「時代」のような位置づけ)がそこそこヒットして、比較的恵まれた形でキャリアをスタートした。ちなみに、サザンの桑田圭祐は、このビリー・ジョエルに大きな影響を受けている。たとえば、「私はピアノ」は、ピアノマンのイメージを原由子にあてはめたもの。曲調は全然違うが、しっかり歌詞の中に「雨の日にはビリー・ジョエル」と入っている。

しかし、"Piano Man"のヒット後、低迷の時代が続く。それを打破して、一気にスターダムに上りつめたのが、この「ストレンジャー」という作品である。このアルバムは、ニューヨークをテーマにしたコンセプトアルバムのような趣である。

歯切れのいいボーカル、単純そうで実は凝っている(途中3拍子になったりして)"Moving Out"。そのあとに、哀感豊かなピアノの調べにのって口笛が流れ、"Stranger"が始まる。私は、この曲が彼の最高傑作だと思っている。詞のリズムと曲のメロディが、これほどばっちり合っているのは、ほかにビートルズの"Help"くらいじゃないか?

次の曲は、グラミー賞受賞曲の"Just the Way You Are"。これを「素顔のままで」と訳したのは許せる。もはやスタンダードナンバーの名曲。最初聴いたときは、フワフワしたメロディが気に入らなかったが、じわじわと良さが分かってくる曲。こういうのを大人の歌と言うのでだろう。

それ以外にも、大人のカップルが語り合っている情景が浮かぶ"Scene from the Italian Restraunt"。ピアノマンの本領発揮の"She's Always Woman"や"Viena"などが並び、ラスト曲らしいラスト曲"Everybody Has a Dream"。これで終わるかと思いきや、最後にストレンジャーの時に流れていた口笛がリフレイン。完璧な構成。すべてが名曲である。

次作「ニューヨーク52番街」には、"My Life"や"Honesty"が、次のアルバム「ガラスのニューヨーク」には、"You May Be Right"など好きな曲が並ぶ。この頃のビリーは最高だった。

そのあと、歴史に名を刻むアルバムを残そうと変な野心を燃やし「ナイロン・カーテン」を発表。いい曲がないわけではないが、われわれがビリーに期待していたものとは違う。背伸びしすぎ、上から目線の曲にファンからそっぽを向かれてしまう。

しかし、反省して、今度は60年代ポップスを意識した(というかパクッた)「イノセント・マン」で復活。トップスターに返り咲く。しかし、私が好きなのは、ニューヨーカーの日常を描いたもの。彼は、情景の描写が上手で、映画のシーンを見るよう。そこに、最高のメロディが聞こえてくれば、何も言うことがない。

それにしても、"Honesty"の歌詞ほど、的確に今の社会状況を予言しているフレーズはないような気がする?
Honesty, such a lonely word,
Everyone is so untrue


スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。