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クりフォード・ブラウン「クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ」

クリフォード・ブラウン/クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ
これは、伝説のトランペッター、クリフォード・ブラウンがマックス・ローチとのコンビで残した数々の名作の一枚。

史上最高のトランペッターは誰か? もちろん、総合的に見たら、マイルス・デイヴィスに決まってる。しかし、トランペット奏者ということだったら、私は躊躇することなく、クリフォード・ブラウンをあげる。

彼の前には、ジャズの創始者といっても過言ではないルイ・アームストロング、チャーリー・パーカーと組んでパップ期を創成し、すべてのトランペッターの憧れだったディジー・カレスピーもいたし、彼の後には、テクニック的には上を行くフレディ・ハバードやウィントン・マルサリスもいる。

しかし、ジャズファンの多くが大好きな時期、ハードバップ期のトランペッターに限定するならば、最高のトランペッターはクリフォード・ブラウンしか考えられないだろう。それほど、彼の作品における演奏は圧倒的である。

彼は、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーの出身者である。多くのジャズマンが、このバンドで修業をして、一人前になっていった。この時代の作品では、「バードランドの夜」が最高。冗談ではなく、トランペットの口から火が吹いているのではないかというような熱い演奏。

クリフォード・ブラウンは、当時のジャズマンに珍しくクリーン(麻薬をやってないということ)だった。大学では数学を学んでいたという経歴を聴くと、理科系でクールなイメージを持つ。しかし、演奏は常に暑く、熱い。1枚、「ウィズ・ストリングス」というオーケストラをバックに録音したものがあるが、意外と面白くない。実は、マイルスとはちがって、バラード演奏が苦手だったのではないかと思われる。

しかし、その流麗なアドリブプレイは、とても人間業とは思えない。マイルスがその演奏を聴いて嫉妬したと伝えられるが、入念な準備をして、おそらくアドリブの大部分を事前に練習してくるマイルスとは違って、メロディがこぼれ落ちてくるといった感じである。

彼でさえも、その場ですべてのフレーズを生み出していたとは思えないが、そこで紡ぎだされるメロディは、作曲家が入念に作った曲のように完成されている。このアルバムに残された"Joy Spring"という曲で、彼が行ったアドリブは、ジャズ史上もっとも美しいアドリブではないか? マンハッタン・トランスファーというボーカルグループは、このアドリブをそのまま譜面に落して録音しているくらい。

クリフォード・ブラウンの作品には、出来不出来がない。ブルー・ノート時代のものも素晴らしいし、ヘレン・メリルという女性ジャズ・ボーカリストのバックを務めた作品"You'd be so Nice to Come Home"で聴かれるソロは絶品。

しかし、やはり、マックス・ローチと組んでいた頃がバンドとしてのまとまりも強く、彼のトランペットも輝いていた。マックス・ローチは、チャーリー・パーカーやパド・パウエルのバックを務めていたジャズ史上最強のドラマーである。そのローチのサポートを得て、伸び伸びと演奏をしている。

このアルバムには、"Joy Spring"のほかにも"Delliah""The Blues Walk""Daahoud"という名演奏が収録されいる。このアルバムの弱点としてよく指摘されるのが、サックスを担当しているハロルド・ランドである。たしかに、超一流の演奏とはいえない。しかし、無駄のない演奏で、クリフォードの演奏を引き立てている。逆に、その後任にバンドに加入したソニー・ロリンズとの相性は良くなかったようである。

天才の名を欲しいままにし、周りの人間に愛されていたクリフォード・ブラウンは、しかし、突然の死を迎える。1956年6月26日、バンドのピアニスト、リッチー・パウエルの妻が運転する車に乗って、雨の中、シカゴに向かったがスリップを起こしてしまう。リッチーとともにこの世を去ってしまう。25歳だった。私は彼の一生に思いをはせるとき、ルネサンスの画家、ラファエロの一生と重ね合わせる。

マイルスに牽引されていたジャズは、常に進歩していくことが運命づけられた音楽ジャンルである。ハードバップ時代は次第に終息に向かいつつある時代。彼がそのまま生き続けたら、時代遅れの存在になり、懐メロ奏者になってしまったかもしれない。しかし、とても短い活動期間に彼が残した作品と、彼の死を悼んでベニー・ゴルソンが作曲した"I Remember Clifford"は、ジャズの歴史に永遠に刻まれるのである。


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